厚生労働省、メンタルヘルス対策、パワハラ防止対策のための取り組みの強化(2017年度より実施)   

厚生労働省から、「過労死等ゼロ」緊急対策が2016年12月に発表されました。大手広告会社の過労死事案などを受け、次のように取り組みが強化されることになりました。これまで以上に、労働時間管理やメンタルヘルス対策、パワハラ対策が重要となります。主なポイントは次のとおり。

 

・メンタルヘルス対策にかかわる企業本社に対する特別指導

複数の精神障害の労災認定があった場合には、企業本社に対してパワハラ対策も含め個別指導が行われる。

・パワハラ防止に向けた周知啓発の徹底

メンタルヘルス対策にかかわる企業や事業場への個別指導の際に、「パワハラ対策導入マニュアル」などを活用し、パワハラ対策の必要性、予防、解決のために必要な取組なども含めて指導。

・ハイリスクな従業員を見逃さない取組みの徹底

長時間労働者に関する情報などに、産業医への提供が義務付けられる。

パワーハラスメントとは

2012.1.30 厚生労働省よりパワーハラスメントの概念が発表

職場のパワーハラスメントとは、同じ職場で働く者に対して、職務上の地位や人間関係などの職場内の優位性を背景に、業務の適正な範囲を超えて、精神的・身体的苦痛を与える又は職場環境を悪化させる行為

優位性とは、職場における役職の上下関係のことではなく、当人の作業環境における立場や能力のことを指す

≪具体的な分類≫

(1)身体的な攻撃(暴行・傷害)

(2)精神的な攻撃(脅迫・暴言等)

(3)人間関係からの切り離し(隔離・仲間外し・無視)

(4)過大な要求(業務上明らかに不要なことや遂行不可能なことの強制、仕事の妨害)

(5)過小な要求(業務上の合理性なく、能力や経験とかけ離れた程度の低い仕事を命じることや仕事を与えないこと)

(6)個の侵害(私的なことに過度に立ち入ること)

さらに3月15日「職場のパワーハラスメントの予防・解決に向けた提言」が発表されました。

(詳細 http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r98520000025370-att/2r9852000002538h.pdf

提言を踏まえ 厚生労働省では、平成24年度から
・職場のパワーハラスメントの実態を把握するための調査研究
・予防・解決に向けた社会的気運を醸成するための周知・広報 を実施する予定です。

 

■パワハラの種類

1)攻撃・否定
言動で直接攻撃したり、人格否定無視などする

<典型的な例>

  • 他の社員たちの前で怒鳴る
  • 一人だけ呼び出して、怒鳴る
  • 相手の言い分を聞かず、頭ごなしに叱る
  • 机やイスなどをたたいたり、けったりする、書類をやぶるなど
  • その人がいないところで、その人の悪口をいう
  • 人格を否定する
  • 能力を不当に低く評価する、評価に関して脅すようなことをいう
  • 相談にのらない、部下が困っていても関わらない
  • 無視をする

 

2)強制・妨害
自分の仕事のやり方や業務などを押しつけたり、仕事を与えない

<典型的な例>

  • 自分のやり方を押しつける
  • 無理な目標設定を押しつける
  • 責任をなすり付ける
  • 飲み会への参加を強要する
  • サービス残業を強要する
  • 休みをとらせない

パワーハラスメントの事例1

女性教諭ら、校長提訴広島○○高 /広島

広島○○高(西区)の女性教諭ら2人が27日、校長と学校を運営する「○○学園」に対し、繰り返し暴言を吐かれ、精神的に追いつめられたのはパワーハラスメント(パワハラ、地位を利用した嫌がらせ)に当たるとして、計1000万円の損害賠償を求めて広島地裁に提訴した。


訴状によると、提訴したのは50代の女性教諭と女性職員(ともに休職中)。

2人は昨夏から今春にかけて、校長に「辞表を書きなさい」と迫られたり、他の教職員の目の前で無能呼ばわりされ、精神的苦痛を負った、などと主張している。

パワーハラスメントの事例2

労災不支給:パワハラを認め処分取り消し−−労災保険審査官 /愛知

愛知労働者災害補償保険審査官は29日までに、パニック障害などになった名古屋市の車両引き揚げ代行会社の元社員男性(43)の労災を認め、名古屋南労働基準監督署の不支給処分を取り消した。


男性と、支援する市民団体「名古屋労災職業病研究会」が明らかにした。

同研究会などによると、男性は96年から債務者の車両引き揚げ業務を担当。
04年6月からは社長代行で車の査定やオークション業務などもした。

05年8月にパニック障害、07年にはそううつ病と診断された。

男性は社長のパワハラと長時間労働が原因として労災補償を請求したが、同労基署は09年3月に不支給処分を決定した

これに対し同審査官は「社長代行は責任が大きいと推測できる。社長からは厳しい叱責が繰り返されていた」と判断した。

柳原より一言

雑誌柳原2.jpg

加害者には悪意がなく、教育指導のつもりで行っていることも多いのがパワハラです。

特に、過去の成功体験にこだわりを持つ方、自他に対する厳しさを信条としておられる方は、ご自身で注意されることが必要です。

部下を育てるには、まず待つこと、聴くことが大切です。

成長には個人差があることを理解し、自分の能力やパフォーマンスと比較しないようにいたしましょう。